Project SceNE

Since 2020

科学とアートの融合による環境変動にレジリエントな在来知の高解像度復原と未来集合知への展開

PI: Tsuyoshi Watanabe, Atsuko Yamazaki

長期的な地球環境の変化や将来の災害は実感しにくく、人々の生活の中のアクションに繋がりにくいという課題があります。また同じ「温暖化」であっても、その枝葉の先に地域特有の気候や生態系の変化があり、目の前で見ている現象と地球環境の変化が結びつかないこともあります。地球環境問題の解決には、自分の身の回りの環境の変化を把握し、自分ごととして捉えるプロセスが必要なのではないかと私たちは考えています。

鹿児島県の奄美群島は、先史時代から環境容量を超えることなく人と自然が共存してきた世界的にも珍しい地域と考えられています。私たちはその中の一つである喜界島に研究拠点を置き、気象や災害、自然環境に対応してきた知(在来知)が豊富に残っていること、そして人口減少や生活様式が一元化されていく中で失われつつ現状を目の当たりにして来ました。

Project SceNEではサンゴ骨格年輪を中心とした高解像度の環境復原と、地域のステークホルダーの記憶や現代の我々の心情や行動をもとに、自然(サンゴ)の記憶と人の記憶を重ね合わせることによって、人と自然の関係の高解像度データを導出することを発想しました。その科学的なデータを、アートを媒介とすることによって異分野の研究者や地域のステークホルダーと共有し、地域における在来知を再評価します。さらに将来の地球環境変動に対してレジリエントであり、共感を得やすい地域社会像を得るための未来集合知を創造することを目指し、研究をおこなっています。

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